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当別町新庁舎建設基本構想(案)の解説

  • 執筆者の写真: 佐藤たつ
    佐藤たつ
  • 1 日前
  • 読了時間: 9分
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当別町新庁舎建設基本構想(案)を、これまでの検討経過も踏まえて整理しました。なお、このまとめは、公開されている当別町新庁舎建設検討委員会の議事録や資料、当別町新庁舎建設基本構想(案)、当別町新庁舎建設基本構想(素案)をもとに佐藤立の責任で作成したものです。当別町や当別町新庁舎建設検討委員会の公式の見解ではありません。予めご留意願います。


当別町新庁舎建設基本構想(案)の町民説明会が開催されます。



どちらも、定員50名。当日受付のみで定員になり次第締め切りとのことです。詳しくは当別町のWEBサイトでご確認ください。


パブリックコメントも実施中(締め切りは1月8日)


基本構想(案)へ意見を出すことができます。詳細はこちらへ



基本構想(案)の概要と検討経過


当別町新庁舎建設検討委員会は、令和4年2月に設置されて以来、令和7年8月に町長に「提言書」を提出するまでの間、計19回にわたって検討を進めてきました。そして、この提言書を踏まえて、当別町役場が「当別町新庁舎建設基本構想(案)」をまとめました。


この資料でわかること:新庁舎計画の5つの柱 基本構想(案)のポイントを以下の5つのテーマで解説しています 。   なぜ必要?(現庁舎の課題と、新しい庁舎が目指すもの)    どんな庁舎?(規模の最適化と、まちの賑わいを生む機能)    どこに建てる?(候補地の検討プロセスと、最有力候補地)    いくらかかる?(概算事業費の内訳と全体像)    どう進める?(財政に配慮した建設手法)

ここでは基本構想(案)を

の4つにわけて整理します。



1. 新庁舎整備の必要性および基本方針


現庁舎の現状と課題

なぜ今、新庁舎が必要?(現庁舎が抱える3つの課題)  老朽化: 1970年建築で、築55年以上が経過し著しく老朽化 。   安全性: 2013年の耐震診断で「耐震性に疑問あり」とされ、基準を満たしていない 。   利便性: バリアフリー未対応で、ユニバーサルデザインの導入が不可欠 。
  • 現庁舎は1970年の建築で、築55年以上が経過していて老朽化が著しいです。

  • 2013年の耐震診断で「耐震性に疑問あり」と判断されており、耐震基準を満たしていません

  • バリアフリーに対応しておらず、ユニバーサルデザインの導入が不可欠です。


今後検討すべき新庁舎に必要な諸条件

  • 耐震性・安全性・防災性の確保

  • 町民サービスや町民交流機能の向上

  • 町議会議員・町職員の執務環境と福利の向上

  • ユニバーサルデザイン・省エネルギー等への対応

  • 管理コスト・ライフサイクルコストの縮減

  • 公共施設と中心市街地回遊性の向上

  • 当別の顔づくりと景観向上や周辺への波及効果

  • 町民アクセスと道路交通の条件

  • 敷地条件の適正さと用地確保の容易さ

  • 実現までのスケジュール


庁舎建替えの基本方針

新しい庁舎が目指す、4つの基本方針  まちづくりの拠点に: 機能の複合化と民間活力の導入で、中心市街地の活性化を牽引 。   災害に強い拠点に: 防災備蓄倉庫や災害対策本部機能を備え、危機管理を支える 。   誰にでもやさしい場所に: ユニバーサルデザインを導入し、サービスと交流の向上を目指す 。   未来へつなぐ資産に: 環境配慮、維持管理コスト抑制で長く有効活用する 。   特記事項: 北海道医療大学の移転を見据え、周辺の経済活性化に繋がることが重要視されています 。

「まちづくりに寄与する庁舎」

  • まちづくりの拠点として、機能の複合化と駅周辺への都市機能の誘導。

  • 民間活力導入による中心市街地の活性化。


「災害に強く、危機管理拠点となる庁舎」

  • 防災備蓄倉庫、災害対策本部機能を有する災害対策室の設置。

  • セキュリティ対策の強化。


「利用環境に優れた、ひとにやさしい庁舎」

  • 駐車場・公共交通の整備、窓口体制の強化、バリアフリー化、快適な空調の整備などによる利便性の向上や効率的な施設づくり。

  • ユニバーサルデザインの導入。


「環境に配慮し、長く有効的に活用できる庁舎」

  • 再生可能エネルギー導入による維持管理コストの低減、施設の長寿命化等への配慮


「当別町の魅力を発信する庁舎」

  • 外観・内装ともに近隣に配慮した景観づくりに寄与。

  • 対外的な当別町の魅力発信。


 特に、北海道医療大学の町外移転決定に伴う町内経済への影響が予想される中、新庁舎は周辺の経済活性化につながるよう建設を進める必要があるとされています。



2. 庁舎規模と複合化・分散化


庁舎規模の適正化(5,140㎡→4,597㎡)


スマートに、必要な機能を凝縮(規模とコストの適正化)規模の最適化: 基本構想(素案)の $5,140m^{2}$ から、基本構想(案)では $4,597m^{2}$ へ見直し 17。コスト削減: 規模適正化により、事業費を約4億円削減できる見込み 18181818。実現方法: 会議室のシェア化、ペーパーレス化による書庫の縮小など 19。

面積は減っても、機能は向上 機能拡充:  防災備蓄倉庫: 新たに100㎡を確保し備えを強化 。  バリアフリートイレ: 面積を拡大・整備 。  効率化:  書庫: 電子化を進め、400㎡から120㎡に大幅縮小 。  町民交流スペース: ロビー等との兼用で専用スペース(50㎡)を設けずに機能を実現 。
  • 基本構想(素案)における試算面積5,140㎡に対し、財政的な負担軽減のため、規模の適正化が図られました。

  • 結果として、会議室のシェア化や文書の電子化(ペーパーレス化)による書庫面積の縮減、町民交流スペースのロビー・廊下等との兼用などにより、必要面積は4,597㎡に縮減されました。この縮減により、約4億円のコスト削減が見込まれています。

  • 一方で、トイレのバリアフリー化や防災備蓄倉庫の機能拡充(100㎡へ増大)など、必要な機能の面積は拡大されました。



現庁舎

基本構想(素案)

基本構想(案)

備考






内訳


事務室


943㎡

1,180㎡

1,180㎡

1,180㎡

職員180人想定

付属所要室

宿直室、庁務員室、更衣室、受付・警備室、職員休憩室、ゴミ庫

350㎡



288㎡


付属所要室

給湯室、便所及び洗面所(多目的)

85㎡

610㎡

538㎡

110㎡


付属所要室

倉庫

21㎡



140㎡


固有業務室等

議場、議場関係諸室

516㎡

530㎡

525㎡

525㎡


書庫


181㎡

400㎡

120㎡

120㎡

文書の電子化に伴い、紙資料の保管が少なくなることが予想されるため、面積を縮減できる。

業務支援機能

相談室、小会議室、サーバー室、印刷室、

77㎡



150㎡

災害時に必要となる防災対策室は、日常的には使うことが無いため、専用で設けるのではなく、会議室と兼用することで面積を縮減できる。

業務支援機能

大会議室

108㎡

670㎡

650㎡

400㎡

業務支援機能

備蓄倉庫

0㎡



100㎡

設備関係

機械室、電気室等

117㎡

400㎡

392㎡

392㎡


交通部分

待合スペース

0㎡

1,300㎡

1,192㎡

170㎡


交通部分

エレベーター、階段、廊下等

719㎡



1,022㎡


町民交流スペース



50㎡

0㎡

0㎡


合計


3,117㎡

5,140㎡

4,597㎡




分散化の検討


  • 新築部分の面積と事業費のさらなる削減を目指し、既存施設(NTT当別ビル、旧当別小学校など)を活用した機能の分散配置が検討されました。

  • しかし、既存施設は築年数が長く(NTTビル築62年、旧当小築54年)、改修やリースに伴う事業費の増加や、利便性の低下といったデメリットが大きいと判断されました。

  • このため、基本構想(案)では、分散化は行わない方針が示されています。


複合化すべき施設・機能


役場だけじゃない、まちの賑わい拠点へ  背景: 北海道医療大学の移転に伴い、中心市街地の活性化が急務 。   解決策: 文化ホールやテナント等の機能を導入し、人の流れと賑わいを生み出す拠点を目指す 。
  • 当初の検討では、庁舎規模の縮小を優先し、図書館や文化センターの複合化は見送られました。

  • しかし、まちの賑わい創出という観点から、提言書では文化ホールやテナント等の導入を検討すべきとの提言があり、基本構想(案)ではこれらを導入して建設を進める方針とされています。



3. 建設候補地


当初の4候補地

◦ 現庁舎用地、白樺公園用地、JA北いしかり用地、旧当別小学校用地の4候補地で検討を開始しました。


候補地の整理(除外)

◦ 白樺公園用地: 都市公園指定の制約が大きく、周辺住民からの反対意見が多数あったため除外されました。

◦ JA北いしかり用地: 土地所有者との協議や、仮設事務所・駐車場の確保など多くの課題が判明したため除外されました。

◦ 現庁舎用地: JR線路に近接しており、工事に伴う事業費の増加や敷地面積の確保が困難であるため除外されました。


新たな候補地の追加と提言

旧公民館用地とその周辺用地が新たな候補地として追加され、旧公民館用地とその周辺用地を第一候補地とする提言がなされました。この用地は、市街地に位置し利便性が高く、地域経済の活性化に繋がることが期待されています。

◦ 旧当別小学校用地が第二候補地として検討を継続することになりました。



4.概算事業費


まずは全体の事業費についてまとめます。庁舎部分は44.6億円と試算されています。併設することが提案されている文化ホールやテナント部分は面積が明示されていないので金額不明です。仮に基本方針(素案)の400㎡とすると文化ホール部分で3.9億円が追加で必要となります。これ以外に、用地取得費や既存建物の解体費も必要です。


概算工事費(建築工事費+外構整備費+備品購入費等)

事業費はどのくらい? ①庁舎本体の建設費概算工事費: 約44.6億円 ($4,597m^{2}$) 32。注記: 併設検討中の文化ホールやテナント費用は含まれていません。単価(97.0万円/㎡)は江別市の事例を参考 33。
  • 直近の道内庁舎建設検討事例による工事費単価 97.0万円/㎡(直近の事例である江別市の単価を採用)

  • 新庁舎を4,597㎡とすると、概算工事費は44.6億円(文化ホール・テナントなどの部分は除く)

  • 文化ホール、テナントなどは面積が示されていないが、仮に文化センターを基本構想(素案)と同じ400㎡とすると3億8,800万円、テナントを素案の金融機関と同じ40㎡とすると3,880万円となります。

  • 以下の表の概算工事費は、庁舎部分は基本構想(案)に記載されているもの、テナントと文化センターは試算したものです。



合計

庁舎

図書館

金融機関(テナント)

文化センター

基本構想(素案)

面積

6,400㎡

5,140㎡

780㎡

40㎡

400㎡


概算工事費(78.2万円/㎡)

50億480万円

40億1,948万円

6億996万円

3,128万円

3億1,280万円

基本構想(案)

面積

4,597㎡~5,037㎡

4,597㎡

(民間ビルへの図書館移転計画が別途あり)

(テナントとして記載あり。面積は記載なし。)

(面積は記載なし)


概算工事費(97.0万円/㎡)

44憶5,909万円~48億8,585万円

44憶5,909万円


基本構想(素案)と同じ40㎡とすると3,880万円

基本構想(素案)と同じ400㎡とすると3億8,800万円


用地取得費


  • 旧公民館用地の場合は用地取得が必要

  • 近隣の公示地価(弥生546-8)7,700円/㎡で試算すると、7,322万円となります。


町有地(末広118-36)

取得対象の民有地(試算)

合計面積(令和7年度第2回当別町新庁舎建設検討委員会資料より)

旧公民館用地

4,281㎡

9,509㎡

13,790㎡


既存建物の解体費


 基本構想(案)には金額が明記されていませんが、基本構想(素案)では直近の実績である単価5.7万円/㎡として試算されています。なお、基本構想(素案)では建設費が78.2万円/㎡となっていましたが、基本構想(案)では97.0万円/㎡と24%高くなっています。建設工事と解体工事では異なる点がありますが、仮に同じ割合で値上がりしたとすると、解体単価は7.1万円/㎡となります。


既存役場庁舎

役場第二庁舎

旧公民館

旧当別小学校

延べ床面積

3,076㎡

361㎡

1,259㎡

4,900㎡

解体費試算(単価5.7万円/㎡)

1億7,500万円

2,058万円

7,176万円

2億7,900万円

解体費試算(単価7.1万円/㎡)

2億1,840万円

2,563万円

8,939万円

3億4,790万円


合計の事業費試算


事業費はどのくらい? ②総事業費の試算  旧公民館用地の場合: 総事業費 約48.7億円 。  内訳: 概算工事費44.6億 + 解体費約3.3億 + 用地取得費約0.7億 。      旧当別小学校用地の場合: 総事業費 約50.5億円 。  内訳: 概算工事費44.6億 + 解体費約5.9億(用地取得費は0円) 。     重要: テナントや文化ホール(約4.3億円と試算)を併設する場合、総事業費は約53億~55億円に増加します 。

以上の各費用を合計して、全体の事業費を試算すると、48億6,573万円~54億7,778万円となります。

  • 新庁舎の概算工事費(44億5,909万円)は基本構想(案)に記載されていますが、他の金額はすべて試算です。

  • 解体費は、基本構想(素案)の単価を24%増額した7.1万円/㎡で計算しています。

  • 解体費には、役場第二庁舎分も含んでいます。



概算工事費(建築工事費+外構整備費+備品購入費等)

用地取得費

既存建物の解体費

合計

旧公民館用地に新築

庁舎のみ

44億5,909万円

7,322万円

3億3,342万円

48億6,573万円

旧公民館用地に新築

テナント、文化センター併設

48億8,585万円

7,322万円

3億3,342万円

52億9,249万円

旧当別小学校用地に新築

庁舎のみ

44億5,909万円

0円

5億9,193万円

50億5,102万円

旧当別小学校用地に新築

テナント、文化センター併設

48億8,585万円

0円

5億9,193万円

54億7,778万円



5. 建設事業手法


比較検討された手法

◦ 従来方式、PFI方式(BTO方式)、PPP(リース方式)の3方式が比較検討されました。


財政状況の制約

◦ 当別町の財政状況(地方債残高約99億円)を踏まえ、単年度に巨額の支出が必要となる従来方式は困難であると判断されました。

◦ PPP手法(PFI/リース)は、事業費を分割払いできるため、年度予算の平準化が可能であるという点で優位であると評価されました。


提言された手法


どのようにつくる? PPP(リース方式)の採用  採用手法: PPP(リース方式) 。   仕組み: 民間事業者が庁舎を「建設・所有」し、町が長期間(20~30年)借りてリース料を支払う 。

なぜリース方式?(財政負担の平準化とスピード)  メリット1 財政負担の平準化: 建設時に巨額支出が集中する従来方式と異なり、長期分割払いのため単年度負担を抑制できる 。    メリット2 事業のスピード: 設計から建設までが早く、約3.5年で供用開始が可能(災害への備えも早期実現) 。

◦ PPP(リース方式)が第一候補として推奨されました。リース方式は、事業スピードが最も速い(約3年半で供用開始可能)という利点があり、予測不能な災害への備えや維持管理の効率化にメリットがあると考えられています。

◦ PFI方式は民間ノウハウ活用や予算平準化に優れるものの、準備期間が長く、事業の立ち上げに時間がかかるというデメリットが指摘されています。



なぜ?	 築55年超の現庁舎の老朽化・耐震性不足を解消するため 。  何を?	 まちの活性化にも寄与する、スマートで多機能な庁舎を 。  どこへ?	 中心市街地の「旧公民館」周辺を最有力候補地として検討 。  いくらで?	 庁舎本体で約49億~51億円、複合施設を含めると約53億~55億円の総事業費を試算 。  どうやって?	 財政負担を平準化でき、スピーディーな「PPP(リース方式)」で実現 。

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