当別町役場新庁舎整備に向けた検討状況のご紹介
- 佐藤たつ
- 10月3日
- 読了時間: 6分

当別町の役場新庁舎建設に向けた検討状況をお知らせいたします(2025年9月現在)。このイラストは、まったくのイメージです。
現庁舎の課題
建築年数
55年以上が経過し、老朽化が著しい状況にあります
耐震性
過去の耐震診断結果では耐震基準を満たしていないと判断されています
災害対応
大規模な災害が発生した際には、災害対策本部を設置する拠点としての役割を果たすことが危ぶまれるという、非常に重要な課題を抱えています
このため、当別町では令和4年2月に「当別町新庁舎建設検討委員会」(以下、検討委員会)を設置し、町民の皆様の視点を取り入れた新庁舎のあり方について、これまで19回にわたり議論を重ねてきました。
これまでの検討の経緯
新庁舎建設の検討は、令和3年9月に策定された「当別町庁舎建設基本構想(素案)」に基づき、令和4年2月に検討委員会が発足したところから本格的にスタートしました。
令和3年9月 | 「当別町庁舎建設基本構想(素案)」策定 |
令和4年2月 | 「当別町新庁舎建設検討委員会」設置・検討開始 |
令和5年度 | 既存施設の利活用可能性について調査・検討 |
令和6年度 | 現庁舎の耐震化調査実施・新築建設への再移行 |
令和7年8月 | 検討委員会から町長へ提言書提出 |
検討開始当初(令和4年度)
当初の「基本構想(素案)」では、庁舎機能に加えて図書館や文化センター機能などを複合化することも視野に入れており、延床面積は約6,400㎡、概算事業費は約50億円を想定していました。
しかし、検討委員会では、町の厳しい財政状況や、将来的な人口減少・行政のスリム化を見据え、事業費の削減が必須であるという認識を共有しました。
議論の焦点
庁舎規模の適正化:必要機能の再検討や諸室の兼用化による面積縮減。
分散配置の可能性:既存の公共施設や民間施設(NTT当別ビルなど)を活用し、新庁舎の面積をさらに縮減できないか。
検討過程での大きな方針転換(令和5年度)
令和5年度には、既存施設の利活用可能性について調査・検討が行われました。
この最中、北海道医療大学の移転決定など、町を取り巻く社会情勢が大きく変化したことを受け、「まちづくりの方向性が定まらない中で新庁舎建設を進めるのは難しい」との判断に至りました。
そのため、新庁舎建設のタイミングについては一度遅らせることもやむを得ないとし、当面の間、現庁舎の耐震性を確保するための調査・検討を優先する方針が整理されました。
新築への再移行(令和6年度)
37.9億円
現庁舎の耐震化調査結果
令和6年度に実施された現庁舎の耐震化調査の結果、改修工事費の総額が37億9,211万円という想定を大きく上回る高額な試算となりました。
これを受けて、検討委員会は、高額な費用をかけて改修を行うよりも、「耐震補強ではなく、早急に新庁舎の新築に向けた議論に移行すべき」という総意の結論に至りました。
この結論に基づき、令和6年度・7年度は、新庁舎の機能、規模、建設場所、建設手法について改めて議論を集約しました。
検討によって変更・決定された主な方針
検討委員会での議論を通じて、当初の基本構想(素案)から以下のような変更・決定が行われました。
検討事項 | 当初基本構想(素案) | 検討後の変更・決定された方針 | 変更・決定の主な理由 |
庁舎の規模(延床面積) | 約5,140㎡ | 4,597㎡に縮減 | 建設費削減、将来のデジタル化や行政のスリム化を見据えた適正化。 |
複合化 | 図書館や文化センター機能の併設を検討 | 庁舎単体での建設を基本とする | 財政負担の抑制、複合化では町民ニーズに合う規模を確保できない可能性。ただし、提言として再検討が推奨されています。 |
建設手法 | 3方式(従来、PFI、リース)を検討 | リース方式に優位性がある | 町の財政状況から多額の借入(起債)が困難であるため、費用負担の平準化や工期短縮が図れる民間活力の導入が不可欠。 |
建設候補地 | 4候補地(現庁舎、旧当別小学校、白樺公園、農協) | 旧公民館用地とその周辺用地を第一候補地とする | 商業地にも近く、新たな人の流れと地域経済の活性化が期待できる。現庁舎用地やその他候補地は、面積不足や制約、水害リスク等の課題により除外。 |
分散化 | 既存施設を活用した分散化を検討 | 分散化せずに機能を集約させた庁舎を新築すべき | 既存施設(NTTビルや旧小学校)は老朽化が進んでおり、改修費がかかるため、事業費削減のメリットがあてはまらないと判断。 |
新庁舎建設に関する提言
和7年8月6日、検討委員会委員長及び副委員長から町長へ、これまでの検討結果をまとめた「提言書」が提出されました。
提言書は、新庁舎の機能、規模、建設候補地、建設手法の4項目から構成されており、早期の新庁舎建設に向けた方針を示しています。
提言の詳細内容
新庁舎の機能について
防災機能の強化:大規模な災害に対応するため、備蓄倉庫や災害対策室などの機能を大幅に強化する必要があります。
バリアフリーの実現:エレベーターや多目的トイレなど、町民にとって利用しやすいバリアフリー機能が必要です。
デジタル化の推進:リモート相談窓口の対応強化や、フリーアドレス導入など、デジタル技術を活用した町民サービスの向上や執務環境の改善が求められます。
複合化の検討:町の未来を考えたとき、文化ホールなどの併設やテナントの導入について、事業費増加の可能性があっても検討すべきである。
新庁舎の規模について
当初の基本構想(素案)の5,140㎡から、会議室の兼用化・適正化を図ることで、4,597㎡まで縮減すべきである。
既存施設を活用した分散化は、改修費などの課題から事業費削減のメリットが少ないため、機能を集約させた庁舎を新築で建設すべきである。
建設候補地について
検討の結果、旧公民館用地に周辺民有地を加えた用地を第一候補地として検討すべきである。この場所は市街地にあり、商業地にも近接しており、地域経済の活性化につながる新たな人の流れが生じることが期待されています。
ただし、周辺民有地の確保が未定であることから、旧当別小学校用地を第二候補地として検討することも必要である。
建設手法について
従来手法、PFI方式、リース方式を比較検討した結果、リース方式に優位性がある。
リース方式は、民間のノウハウを活用しやすく、費用を後年次への平準化した負担とすることが可能であり、工期が比較的短いというメリットがあります。
今後の予定
町は、検討委員会からの提言内容を受け、以下のスケジュールを目途に計画の具体化を進めていく方針です。
基本計画の具体化
町は、提言内容を踏まえ、災害対応や建設費の高騰などの状況を見極めながら、遅くとも1年以内を目途に計画の具体化を進めていく考えです。
基本構想の策定
提言書に基づき、今後、新庁舎建設に向けた基本構想の策定作業が進められます。
建設手法の検討
基本構想の策定において、リース方式のメリットを活かしつつも、国や道の補助金・起債などの活用可能な支援制度についても調査研究を進め、早期に庁舎建設が実現できる建設手法について検討が進められます。
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