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  • 執筆者の写真佐藤たつ

人口戦略会議の『地方自治体「持続可能性」分析レポート』を読む


2024年4月24日の人口戦略会議が公表した『地方自治体「持続可能性」分析レポート』が報道されました。当別町は、人口の自然減対策・社会減対策の双方が極めて必要な「構造的に深刻な自治体」(全国で23自治体)に該当するということもあわせて報道されています。

そこで、まずは、このレポートで指摘されている当別町の状況をご紹介します。


まとめ~2020年の当別町がそのまま続いていたら、2050年にはこうなっている、という分析。


  1. 「消滅可能性」は70年、100年という時間軸で見た時に最終的には消滅する可能性が高いという定義であり、2050年までに当別町が消滅するという意味ではない

  2. 前回(2010年→2040年)の想定と今回(2020年→2050年)の想定を比べると、当別町の若年女性人口減少率は4.0ポイント改善している。

  3. 自然増減のみ、自然増減+社会増減のどちらでみても、2020年→2050年の30年間で若年女性人口は50%以上減少すると想定されている。

  4. 分析の基礎となる人口推計は2020年までの数値を用いていて、2022年度以降の社会増は反映されていない

  5. よって、2020年時点での当別町の分析として理解するのがよい。


まずは、要点を先に。上の箇条書きの通り、この分析は2020年時点の分析と理解することが適切です。当別町では2022年以降社会増が続いていますがこれは反映されていません。もちろん、安心・楽観は禁物ですが、これまでの取組に意味がなかったということではありません。


以下、解説です。


 

『地方自治体「持続可能性」分析レポート』とは


このレポートは、2023年12月に国立社会保障・人口問題研究所が公表した「日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)」に基づいて、地方自治体の持続可能性を分析したものです。なお、消滅可能性という言葉は、2014年に日本創生会議が公表したリストで注目されました。今回は、それから10年後に改めて公表されたものです。


消滅可能性自治体とは


  • 若年女性人口が 2020 年から 2050 年までの 30 年間で 50%以上減少する自治体

  • このペースで減少すれば100年後には1割にまで減少する→最終的には消滅する可能性が高いのではないか、という定義


今回の特長


  • 人口の社会減だけでなく、自然減についても分析

  • 自然減の分析は、各自治体において人口移動がなく、出生と死亡だけの要因で人口が変化すると仮定した推計結果(封鎖人口)を用いた


全国で消滅可能性自治体の数はどう変化した


『地方自治体「持続可能性」分析レポート』2ページから引用

当別町は、引き続き消滅可能性自治体に該当するものの、若年女性人口減少率が改善した362自治体に含まれています。



 

当別町は?


分析結果の概要

分析結果の分類

自然減対策・社会減対策が極めて必要(構造的に深刻な自治体

前回との比較

若年女性人口減少率が10%ポイント未満改善

若年女性人口の減少率の前回との比較

-4.0ポイント

2020年の若年女性人口

1,332

2020年の若年女性人口

1,332

2050年想定(社会増減+自然増減)


  若年女性人口減少率

-72.3%

  若年女性人口

369

  総人口

9,106

2050年想定(自然増減)


  若年女性人口減少率

-55.9%

  若年女性人口

587

  総人口

10,063


構造的に深刻な自治体とは


当別町は、10年前の想定とくらべて、若年女性人口率が4.0ポイント改善したものの、自然減対策・社会減対策のどちらも極めて必要な、構造的に深刻な自治体(C-3)に位置付けられました。この構造的に深刻な自治体は、全国で23自治体あります。

『地方自治体「持続可能性」分析レポート』4ページから引用

定義


構造的に深刻な自治体(C-3)の定義は、上の表のとおり、封鎖人口(自然増減のみ)・移動仮定(自然増減+社会増減)のどちらでみても、若年女性人口の減少率が50%を超える、というものです。若年女性が町外へ転居することがないとしても、自然減だけで50%以上になるという想定です。そして社会増減(転入転出)を足してもやはり50%以上の減少となる想定です。


当別町の人口推計


2023年12月に国立社会保障・人口問題研究所が公表した「日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)」から当別町の数値を抜粋したものがこちらです。googleスプレッドシートでも見ることができます。




 

数字の意味を人口推計の方法から考える。

国立社会保障・人口問題研究所の将来人口推計は、このフローチャートの流れで行われています。

「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)【令和5年国立社会保障・人口問題研究所]5ページから引用

なんじゃこりゃ?と思われるかもしれませんが、推計に影響を与える数値を抜き出すとわりとシンプルなものです。


推計は2020年までの数値を使っている。


下の表のとおり、難しいことを置いておけば、推計の基礎となる数値は2020年までの各種調査結果です。今年は2024年。当別町は2022年度から社会増(転出より転入が多い状態)が続いていますが、この推計には反映されていません。

2020年男女・年齢別人口

推計の基準となる人口で、2020年の国勢調査の結果を用いています。

生残率

大まかにいえば、5歳年を取る間にどれくらいの方が生き残るか(逆から言えば亡くなるか)の割合です。人口の全国推計を基礎に、64歳以下は市町村別のばらつきが少ないので、都道府県ごとに計算した数値を都道府県内の市町村すべてで用いています。それ以上の年齢になると、地域ごとのばらつきが大きくなってきますので、市町村ごとの補正を行っています。いずれも、2020年までの統計資料をもとに試算しています。

移動率

人口の移動、転入・転出の仮定値です。2005年から2020年までの移動傾向がその後も2050年まで継続するとして計算しています。

子ども女性比

20-44歳の女性と0-4歳の子どもの人数比です。出生率に近いイメージです。2005年~2020年までの数値をもとに、同じ傾向が2025年まで続きそれ以降は2050年までは一定、という推計です。

0-4歳の性比

0-4歳の子どもたちの男女の比率です。女性の人数が、その後の子どもの数に影響してくることから性別での試算をしています。これは、全国推計をもとに全国で一律の数値を用いています。


つまり、推計は2020年までの数値を基礎としているので、最近の動向が反映されていません。報道を見ると、「最近人口増えてるって聞いてたけど、やっぱりだめなのか、、、」と感じてしまうかもしれません。でもそう受け取る必要はありません。あくまでも2020年時点の当別町がそのまま続いたら2050年にこうなっているだろう、という分析です。


安心・楽観はできませんが、むやみに悲観することもありません。













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