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  • 執筆者の写真佐藤たつ

妊産婦の交通費助成がなくなっていた、、、(2/7,2/10追記)

更新日:2023年2月10日



2016年度から行っていた、妊産婦の健診時の交通費助成が今年度(2022年度)からなくなっていました。予算審査ではまったく気が付いておらず、最近町民の方からご指摘をいただいて初めてわかりました。議員としては大変恥ずかしい限りです。これまでにわかっている経緯をお知らせいたします。


※2月7日に福祉部でいくつか確認をしてきましたので追記しました。


 

妊産婦への交通費助成とは

「妊産婦健康診査等交通費助成」という名前で、当別町内で出産できる医療機関がないため、妊産婦が安心して出産できる環境づくりとして、交通費の助成をしていました。

以下の内容で、1人当たり最大15,360円でした。


こんな制度

対象者

当別町に住民登録のある妊産婦


助成内容

妊産婦健診及び出産のために産科医療機関へ通院する際に要した交通費について、1回960円(最大16回分)助成。


妊婦健診(最大14回分)

当別町が発行する妊婦一般健康診査受診票を活用し、健診を受診した際に要した交通費を助成。


出産時(1回分)

出産の際に要した交通費を助成。


産後健診(1回分)

産後健診を受診する際に要した交通費を助成。


財源は北海道と当別町で折半

この助成金は2016年度からはじまった北海道の妊産婦安心出産支援事業という制度を利用していました。当別町でも2016年度から実施していました。

当別町から支払われる助成金の50%を北海道が負担するという仕組みです。令和3年度の予算では446,000円が計上されていました。下の画像は2019年度の当初予算審議の際の主要な事業についての説明資料です。

2019年度の当別町当初予算説明資料
2019年度の当別町当初予算説明資料

令和2年度(2020年度)までは、決算審査で議会に提出される「主要な施策の成果に関する説明書」にも記載がありました。2020年度では54件639,000円でした。翌年(2021年度)の主要な施策の成果に関する説明書には、記載がありません。

2020年度決算審査「主要な施策の成果に関する説明書」
2020年度決算審査「主要な施策の成果に関する説明書」

2016年度から2021年度までの予算額と決算額は以下の通りです。


 

なぜなくなった

北海道の妊産婦安心出産支援事業の要件が変わったからだそうです。北海道の制度は、当初は「市町村内に分娩可能な医療機関がなく分娩可能な医療機関がある市町村から25kmを超える市町村又は離島の市町村」を対象としていました。道内104市町村が対象となり、当別町も含まれていました。


計算方法が変わり対象外に


その後、2020年度からすべての市町村が対象となることとなりました。同時に医療機関まで25kmという距離基準の計算方法が変わりました。従来は、役場最寄駅から医療機関がある市町村の主要駅までの公共交通機関の経路でした。これが、対象となる妊産婦の自宅と医療機関までの距離をグーグルマップ等を使って距離を測ることとなりました。

これにより、当別町は大半が対象地域からはずれることとなったのです。


実際に計算してみると。


北海道が指定している当別町直近の産科医療機関は、札幌産科婦人科(札幌市北区屯田6条2丁目)です。グーグルマップで実際に距離を測ってみました。


当別町役場→ 21.1㎞

太美駅→ 13.3㎞


スウェーデンヒルズ管理センター→ 17.6㎞


金沢会館→ 25.8㎞


みどり野団地→ 26.7㎞


弁華別郵便局→ 26.1㎞


このように、金沢、みどり野、弁華別より遠くの地域は25㎞を超えますが、本町・太美・スウェーデンヒルズなどの市街地は対象外となってしまいます。


2021年度は町の負担で継続か


経過処置として、当別町など旧基準で対象となっていた妊産婦は、2020年度末(2021年3月31日)まで引き続き対象となることになっていました。当別町の予算を見ると、2020年度までは北海道の負担分が計上されていますが、経過措置が終了した2021年度は当別町の負担のみで事業を行ったようです。このあたりは、予算審査でもまったく気が付いていませんでしたので、詳細がわかりません。福祉部に確認して、間違いがあれば修正します。


※2021年度は、2020年度から通院を始めていた方を対象に半額(1回あたり480円)の交通費助成を行いました。財源は当別町の一般財源です。2021年度からあらたに通院を始めた方は対象となっていません。(2/7追記)


北海道の制度変更は一理あるが、


当別町にとっては良いことがない制度変更ではありますが、北海道全体で考えた時には一理あると思います。すべての市町村を対象として、妊産婦の自宅から医療機関までの距離を個別に図るというのは公平といえます。特に、公共交通機関が少ない地域では車で移動するしかないので、グーグルマップで距離を測るというのも理解できます。


しかし、こんな疑問もあります。

  • 実距離に応じて、しかも距離区分に応じた交通費を払うのであれば、なぜ25km未満が対象外なのか。

  • 公共交通機関では25km以上だが、道路距離では25km未満の場合は、道路距離を優先して対象外とする、という考え方は、妊産婦が公共交通機関を使うのではなく自家用車(多くの場合、妊産婦が自分で運転することが想定されます)で移動することを推奨していることにならないか。安全性を考えた時には、可能な限り公共交通機関を利用できるように制度設計すべきではないか

  • 「冬期間は公共交通機関を利用する場合」でも道路距離を優先するとされているが、運転の危険性が高まる冬季でも、なお自家用車を推奨するということなのか

対象を全道に拡大する代わりに、距離の基準を厳しくしてなるべく対象者を絞ろうとしているのではないかと、勘ぐってしまいたくなります。もちろん、北海道がそんなことを考えて制度設計しているとはまったく考えていません。そんなこと考えるはずありませんから。


なお、この制度変更については、いつもお世話になっている佐々木大介道議にお願いして詳細を確認中です。


 

これからどうしよう


さて、本題は当別町です。2022年度からこの交通費助成はなくなりました。毎年予算の説明資料や決算の説明資料に載っていたのに、2021年度は載っていなかったこと。2020年4月には制度変更が公表されていたのに、町議会では特に説明がなく、2022年度予算に盛り込まれていなかったことの説明もなかったことは残念です。


もっとも、予算を審査するのが議会の責任ですので、気づかなかった議員に責任があることは間違いありません。これまで以上に、細かく予算書を見て、説明されていないこともあるという前提で予算審査をしないといけないと反省しています。


そのうえで、妊産婦への交通費助成を町の独自事業として復活させる必要があるのか、を議論しないといけません。一度始めた助成制度は絶対になくしてはいけない、ということではもちろんありません。そのように考えてしまうと町の財政はどんどん硬直化して、新規事業の幅が少なくなってしまいます。


当別町として、妊産婦健診のための交通費助成をする必要性があるのか、が議論の焦点です。

  • 全額当別町の負担で行う

  • やめる

この2つの選択肢から、当別町は1年間当別町の負担で行ったうえで、やめるという判断をしました(一部事実関係確認中)。→2021年度は、2020年度から通院を始めていた方を対象に半額(1回あたり480円)の交通費助成を行いました。財源は当別町の一般財源です。2021年度からあらたに通院を始めた方は対象となっていません。(2/7追記)



この制度はもともと当別町と北海道で折半して実施していましたので、

  • 当別町の負担分のみで継続する=補助額が半額になる

という選択肢もあったのではないかと考えています。


町内に出産できる医療機関がない当別町としては、この交通費助成はやるべき事業だと私は考えています。この点については、今年3月議会の一般質問で町の考えを確認したいと思います。

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