アマゾンギフト券の返礼で話題となった泉佐野市。総務省の通知に違反したことを理由に今年6月にふるさと納税制度から除外されました。これに対して泉佐野市は6月10日に、除外の取り消しを求めて国地方係争処理員会に訴えていました(泉佐野市の審査申出書・概要版)。そして、国地方係争処理員会が総務大臣に泉佐野市の除外を再検討するよう勧告したことが今日報道されました。
今回の一連の流れは、総務省の進め方に問題があったと考えています。
アマゾンギフト券とふるさと納税ポータルサイト利用の違いは?
泉佐野市は独自のふるさと納税募集サイト(さのちょく)をつくっていて、この独自サイトで申し込みをした方へアマゾンギフト券を送っていました。
通常多くの自治体ではふるさと納税の募集にふるさと納税ポータルサイトと呼ばれる民間サービスを利用しています。ふるさと納税をされたことがある皆さんはご覧になったことがあるかと思います。有名なところでは、
などです。
当別町は8,290万円を支出
当別町も、町の公式WEBサイトのほかに、さとふるとふるさとチョイスに掲載しています。2018年の寄付金額は約8.7億円。一般会計が約100億の当別町にとっては大きな数字です。2018年に大きく寄付金額が伸びたのは、従来利用していたふるさとチョイスに加えてさとふるへ掲載を始めたからです。
実は、民間のふるさと納税サイトは利用料がかかります。民間サービスなので当然ですね。当別町の場合、2019年度(今年度)の当初予算では、
・ふるさと納税寄付金 9億円
に対して、
・返礼品(送料など含む) 4億5,000万円
・ふるさと納税ポータルサイト利用料 8,290万円
を計上しています。返礼品は寄付額の30%以下とされていますが、送料などを加えて寄付額の50%が支出です。これに加えて、寄付額の約7.5%にあたる8,290万円がポータルサイト利用料となります。
町の公式サイトだけでは十分な集客ができませんので、一定の経費をかけてPRを行い寄付金を集めるというやり方です。実際にサイトを2つに増やした2018年には寄付金額が大幅に増加しましたので、効果は十分にあると考えられます。
なお、このふるさと納税ポータルサイト利用料については、2018年12月に東海テレビが問題を提起する番組を放送しています。WEBに番組概要が紹介されていて、実態がよくわかりますので是非ご覧ください。
では泉佐野市は?
ここで、話が泉佐野市のアマゾンギフト券につながります。先ほど触れたとおり、泉佐野市は独自サイトを設けて、その独自サイト利用者にのみアマゾンギフト券を返礼品として送っています。独自サイトではふるさと納税ポータルサイトへ支払う手数料が必要ないので、その分を寄付者に返しているという仕組みです。
ふるさと納税の寄付金を集めるに当たって、どのような広報手段を使うのかはそれぞれの自治体が決めるべき話です。ポータルサイト利用料として支払うのはよいが、その分を寄付者に返金するのはNG、という総務省の考え方は合理的なのでしょうか。
そもそも、ふるさと納税と返礼品は別のものです。自治体のPR戦略としてどのようにお金を使うかは地方自治体が自らの判断で決めるべきこと。そのお金の使い方に総務省が口を出すのは地方自治の本旨にもとるものではないでしょうか。
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