当別町役場新庁舎住民説明会速報(2025年12月16日開催)
- 佐藤たつ

- 12 分前
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12月16日にふれあい倉庫で当別町役場の新庁舎建設についての住民説明会が開かれました。説明会の概要、当別町役場からの説明内容、および質疑応答の主要なポイントをまとめました。
説明会の概要
日時:令和7年(2025年)12月16日にふれあい倉庫で開催されました。
目的:「当別町新庁舎建設基本構想案」について説明し、パブリックコメントと並行して住民の意見を聴取すること。
登壇者:当別町企画部事業推進課の職員(企画部参与、事業推進課長等)。
町側からの主な説明内容(基本構想案)

町側は、以下の理由と方針に基づいて新庁舎建設を進めたいと説明しました。
現状の課題
現庁舎は昭和45年(1970年)建設で55年以上経過しており、老朽化が著しい(床の亀裂、雨漏りなど)。
耐震性が不足しており、エレベーターや多目的トイレもなくバリアフリーに対応していない。
現庁舎を耐震改修しても約38億円かかり、寿命も10年程度しか延びないため、「新築」の方針へ転換した。
建設候補地
当初の4候補から絞り込み、「旧公民館用地およびその周辺用地」を第一候補に。
除外された場所
現庁舎用地:JR線路に近く、工事のために線路から約43メートル離す必要があり、十分な敷地が確保できないため。
白樺公園:都市公園法上の制約が厳しいため。
農協用地:仮設事務所や駐車場の確保が困難なため。
第二候補
旧当別小学校用地(ただし、災害時の避難場所としての懸念あり)。
建設手法
PPP(リース方式)を採用する方針
民間事業者が建設し、町がリース料を支払う形式ですが、リース期間終了後(例:20~30年後)には所有権が町に移転することを想定しています。
メリットは「事業スピードが速い」「費用の平準化」ですが、国の補助金や起債が使いにくいというデメリットもあります。
規模・費用
必要面積は約4597平米に縮小(会議室の兼用化などで削減)。
この面積には、複合化を検討している文化ホール、テナントは含んでいない。
概算建設費は約44.6億円(解体費や用地購入費などは別途)。
主な質疑応答
建設候補地と既存施設の解体・用地について


Q.旧当別小学校用地(第2候補地)になった場合、校舎は解体するのか?
A.体育館は国の補助金も入っているうえ比較的新しいため残すが、旧校舎部分は解体して更地にする必要がある。解体費は約3億円を見込んでいる。
Q.旧公民館用地(第1候補地)の解体費はどのくらいか?
A.旧公民館と郷土資料館を合わせて、概算で約1億〜1億5000万円程度と試算している。
Q.現庁舎用地での建て替えはなぜ不可能なのか?
A.JR線路に近接しているため、JR側から安全対策として線路から43m(建物の高さ+倒壊距離)離すよう要望がある。この距離を確保すると、庁舎を建設する十分なスペースが確保できないため除外した。43m以内に建てる場合には特別な対策が必要で工事費が高くなる。またJR指定業者を使う必要がある。JRの安全基準が昔より厳しくなっている。
Q.旧公民館用地周辺の用地買収の範囲は?
A.旧公民館の左側にある自動車整備工場跡(現在は空き地)、裏側の民家2軒、および「末広グラウンド」と呼ばれていた法人所有の土地などを想定しており、今後交渉を進める。
Q.用地買収の金額はいくらか?
A.まだ交渉前の段階であり、不動産鑑定を行わないと具体的な金額は答えられない。公示価格や近隣の取引事例が一つの目安となる。
Q.旧公民館用地は水害リスク(ハザードマップ上の浸水想定区域)があるが大丈夫か?人口が増えている西当別は検討対象にならなかったのか?
A.確かに1〜3m未満の浸水想定区域にあるため、基礎を高くするなどの対策が必要。一方、西当別地区は地盤が弱く液状化の懸念があることや、まとまった町有地がないため候補とならなかった。中心市街地の利便性と防災拠点のバランスを考慮した。
建設手法(リース方式)とコスト・契約について


Q.リース方式は道内の自治体庁舎で前例がないようだが、リスクはないのか?
A.庁舎としては道内初だが、公共施設では実績がある。最大のリスクは民間事業者の倒産だが、契約でリスク管理を行う。リース期間(20〜30年)終了後は、無償で所有権が町に移転する想定である。
Q.リース方式だと国の補助金が使えないデメリット以外に何があるか?金利分で高くなるのでは?
A.起債(町の借金)ができない、補助金が使いにくいのが最大のデメリット。ただ、補助金といっても、一部の設備等に限られそれほど大きな金額ではない。リース方式では、民間ノウハウによる建設コスト削減(10〜15%減)が見込め、リース料(金利・手数料含む)を含めてもトータルコストは従来方式と同等程度に収まると試算している。また、費用の支払いが平準化できるメリットがある。
Q.民間に任せて「安かろう悪かろう」の手抜き工事にならないか?
A.大手建設会社等がチームを組むため、信用問題に関わる手抜きは考えにくい。不具合があった場合の修繕義務も契約に盛り込む。
Q.建設手法によるスケジュールの違いは?
A.リース方式が最も早く、順調なら約3年半〜4年で完成する。従来方式だと設計と入札を分けるためさらに1.5〜2年長くかかり、PFI方式だと準備にさらに追加で1年かかる。
事業の緊急性と経済状況について
Q.物価高騰の今、建設を急ぐ必要があるのか?少し先延ばしにできないか?
A.現庁舎の耐震性が著しく低く、災害対策拠点として機能しないため「待ったなし」の状況である。建築費が将来下がる保証もなく、先延ばしにするリスクの方が大きいと判断した。
Q.建設費高騰で住民負担(税金)が増えるのではないか?
A.財政部局と協議し、住民に新たな負担を強いることがないよう、事業費の縮減に努める。
新庁舎の機能・複合化について

Q.複合化機能(文化ホール、テナント)とは具体的に何か?
A.ホールは150〜300席程度の小規模なものを想定。テナントは職員や来庁者の利便性向上につながるものを検討していて声をかけている事業者があるが、具体的な業者は未定。応募がなければ設置しない可能性もある。
Q.ヨーロッパのように木材を使った温かみのある庁舎にしてほしい。
A.貴重な意見として承り、設計段階での検討材料とする。
Q.駐車場不足が懸念されるが?
A.現庁舎(約115台)より増やし、約180台分を確保する計画である。
Q.JR当別駅の駐車場が利用者で溢れている問題も解決してほしい。
A.駅周辺の駐車場不足は認識しているが、今回の計画はあくまで庁舎建設に関するもの。ご意見として承り、町長等へ伝える。
既存施設の扱いと今後の運用
Q.現庁舎(改修)の可能性はないのか?
A.耐震改修だけで約38億円かかり、それでも寿命は10〜15年しか延びないため、新築の方が費用対効果が高いと判断した。
Q.旧当別小学校のリノベーションの可能性はないのか?
A.旧当別小学校は耐震改修済み。仮設庁舎も不要。現庁舎より面積が大きいので、修繕費用がその分かかる。
Q.新庁舎完成後、現在の旧庁舎はどうするのか?
A.維持管理費がかかるため、引っ越し後速やかに解体する予定。跡地の利用法は未定だが、駅に近い立地を生かした検討を行う。
Q.第2庁舎やゆとろ(現在福祉課などがある建物)はどうなるのか?
A.ゆとろは比較的新しいため建物は残る。一部部署を新庁舎へ移す可能性もある。ただし、基本的に残る。
Q.北海道医療大学の移転問題で、JRの運行(当別ー医療大間)がなくなる懸念があるが?
A.現時点では廃止の話が出ているわけではなく、町としては存続を前提に考えている。
今後のスケジュール

町側の回答によると、順調に進めば令和8年度(2026年度)に事業者選定に入り、設計・施工を経て、約3年半から4年後(令和11年〜12年頃)の完成を目標としています。
この説明会やパブリックコメントの意見を踏まえ、今年度内に基本構想を策定する予定です。








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