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当別町新庁舎建設 これから検討が必要なこと

  • 執筆者の写真: 佐藤たつ
    佐藤たつ
  • 20 分前
  • 読了時間: 7分
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これまでの検討経過や当別町新庁舎建設基本構想(案)に基づき、今後さらなる検討が必要だと考えられる点をまとめます。


基本的な考え方


新しい庁舎、これから毎年いくらかかるの? 新庁舎の建設は、私たちの暮らしに新しい「固定費」が生まれることを意味します。    「実家暮らし」から「一人暮らし」へ    これまで(実家暮らし): 古い庁舎を使い続け、修繕費などを除いて大きな支出はなかった。     これから(一人暮らし): リース方式により、毎年一定の支払い(家賃)が新たに発生する。    この支払いは、町民の皆さんへの行政サービスと同じ財源(一般会計)から支出されます。   仮に年間2億円の支払いが発生する場合、それは2億円分の行政サービスを削減することと同じ意味を持ちます。   だからこそ、「本当に必要な機能は何か」「維持費を含めて最も費用を抑える方法は何か」を真剣に考える必要があります。

役場庁舎は、町の事務局として、また災害対策の拠点として重要な施設です。一方で、商業施設とは異なり、収益をもたらすものではありません


当別町はこれまで古い役場庁舎を使い続けてきましたので、建物の修繕費や水道光熱費などを除いて役場庁舎への支出はありませんでした。


新庁舎になれば、リースであれ、借入であれ、毎年一定の支出があらたに発生します。実家暮らしから一人暮らしに変わって、住居費があらたに発生するようなものです。


建設費は町の一般会計で賄います。一般会計は町民のみなさんへの行政サービスのための財源です。仮にリース方式で毎年2億円の支払いが発生するとしたら、2億円分のサービスを削減する必要があります


この視点から考えると、耐震性や良好な職務環境など必要な機能を確保したうえで、いかに費用を抑えるかが最重要です。


この費用とは、建築費を安く抑えるということではなく、維持管理から将来の解体までを含めて、もっとも安くする方法を考えるということです。例えば、建物の断熱効率をあげれば建築費を高くなりますが、毎年の水道光熱費は安くなります。


また、今後、人口減少が避けられない中で、町で維持管理する施設をいかに減らしていくかという視点も重要です。


これらを踏まえて、役場新庁舎について、今後さらなる検討が必要だと考えられる点や質問事項をまとめました。

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施設規模と事業費


分散化

  • 分散化を行わない理由として、「既存施設自体の耐用年数や改修等による事業費増加が予想されるため、分散化は行わないこととする」と記載があります。新築案と比べて具体的にいくら増額することが想定されたのか試算結果を確認したいです。

  • 分散化を今後の職員減少やDX化による必要面積減少への対応と考えれば、分散化部分は50年の使用を想定する必要がないとも考えられます。この観点からの検討が必要です。


既存施設の転用~旧当別小学校の転用と比較

  • 旧当別小学校を修繕した場合と現在の新築案の費用の比較結果を確認したいです。現庁舎を耐震改修+大規模修繕する場合と新築の比較はしていますが、耐震改修済みの旧当別小学校を大規模修繕する場合と新築の場合の比較も必要だと考えられます。


新庁舎の想定使用期間

  • 新庁舎は何年間使用することを想定しているのでしょうか。これは、リース方式の場合、1年あたりのリース料金に直結します。また、今後の職員数の見通しとそれに伴う必要面積の減少幅にも影響をあたえます。


参考資料

  • 新庁舎建設検討委員会では、新庁舎の使用可能年数(目安)は約60年とされています。また、鉄筋コンクリート造(RC造)の一般的な躯体耐用年数として50~60年という数字が示されており、今後50~60年以上使い続けられる庁舎とする必要があると議論されています。

  • 新庁舎を長期間使用するためには、15~20年ごとの大規模改修(設備、屋根防水、外壁など)や定期的な補修が必要であるとされています。


ライフサイクルコスト(生涯費用)

「安くつくる」だけでなく、「賢く使い続ける」工夫は? 建設費だけでなく、光熱費や修繕費、解体費まで含めた「ライフサイクルコスト(生涯費用)」で考えることが重要です。    具体的なコスト削減の検討例:議場は専用で必要?   計画では議会関係スペースとして525㎡(約5.1億円)が見込まれています。年に数回の利用であれば、大会議室や文化ホールと兼用することで、大幅な削減ができないでしょうか?
  • 水道光熱費、除排雪にかかる経費を含めて、建設・維持管理・解体までの建物の生涯で必要となる費用を最も安くするための検討が必要です。


参考資料

  • ライフサイクルコスト(LCC)の日本語は主に「生涯費用(しょうがいひよう)」や「全生涯費用(ぜんしょうがいひよう)」と呼ばれ、製品や建物が作られてから廃棄されるまでの企画・設計・建設・運用・維持管理・解体・廃棄にかかるすべての費用を合計した総額を指します。単なる初期費用(建設費など)だけでなく、ランニングコスト(光熱費、修繕費、保守費など)まで含めたトータルで考えるのが特徴です。


庁舎面積

今後の人口減少に伴う職員減少の影響やDX化による必要面積の減少

もし将来スペースが余ったら、どうする? 人口減少や働き方の変化(DX化)によって余剰スペースが生まれた時に備えて、今から対策を考えておくことが重要です。    公共機能の移転: 現在「ゆとろ」にある福祉部などを新庁舎に移し、ゆとろの将来的な建替え規模を縮小する。    民間への賃貸: 余ったスペースを民間の事業者に貸し出す。    減築できる設計: 将来、建物の規模を小さくできるような設計を採り入れる。    分散化: 当初から余剰が見込まれる分は、別の施設を借りて対応する。
  • 人口減少により職員数の減少が見込まれます。今後の職員数の見通し、それにともなう必要面積数の減少をどう試算しているのでしょうか。

  • リモートワークやデジタル化(DX)が進むことで、職員数や来庁者数がさらに減少することが想定されます。これに伴う必要面積数の減少をどう試算しているのでしょうか。

  • 新庁舎に余剰面積が生じた場合の対策はなにか。ゆとろからの福祉部移転、民間への賃貸、減築可能な設計とする、リース期間満了後に無償譲渡をうけない、当初から余剰想定分を別施設で賃貸(分散化)、など様々な方策が考えられる。管理すべき施設をなるべく増やさないためにどうするかという視点が重要ではないか。


参考資料

人口推移から想定する職員数
  • 2050年の推計値人口9,106人→このときの推定職員数(約110人)。令和6年4月1日の普通会計職員数178人の61.8%。

  • 事務室面積が単純計算で1,180平米→729平米へ451㎡減少

ゆとろ
  • ゆとろ勤務の職員分(777㎡)※基本構想(素案)より試算

  • ゆとろは2000年竣工で延べ床面積2,640㎡。

  • 25~35年後に一般的な耐用年数を迎える。この時点で、ゆとろから執務室を新庁舎に移転し、ゆとろの立て替え面積を削減するという考え方もありえる。


全国の町村の人口と職員数(普通会計)の相関図
  • 青い●赤い●が当別町です。

  • 青は縦軸(左軸)が職員数(普通会計)横軸が人口。

  • 赤は縦軸(右軸)が人口1万人あたりの職員数、横軸が人口。

  • 当別町は人口1万人あたりの職員数(赤)は平均的な数値です。

  • このグラフからも、人口が減れば職員数が減る可能性が高いことが分かります。

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(類似団体別職員数の状況(令和6年4月1日現在・総務省)から佐藤作成)



複合化施設(文化ホール・テナント)の規模と事業費への影響の検討

文化ホールやテナントは、本当に必要? 「まちの賑わい創出」を目的とした機能導入について、考えるべき点があります。    費用と規模への影響: 複合化によって、庁舎の規模や事業費はどのくらい増えるのでしょうか?    既存施設との関係: 既存の白樺コミュニティセンター(築45年)は今後どうなるのでしょうか?    町なかの空き店舗問題: 新しいテナントスペースを作るよりも、既存の空き店舗の活用を優先すべきではないでしょうか?
  • 文化ホールやテナント等の複合化が、最終的な庁舎の規模(4,597㎡からさらに拡大する)や、総事業費(概算36億円から増加する可能性)にどの程度影響するか、詳細な検討が必要です。

  • 文化ホールは基本構想(素案)では白樺コミュニティセンター多目的ホール相当として400㎡とされていますが、基本構想(案)でも同様でしょうか。白樺コミュニティセンターは1980年竣工(旧耐震)で築45年です。同センターの代替と考える場合研修室なども新庁舎に複合化するのでしょうか。

  • この場合にも、旧当別小学校を転用する場合との比較検討が必要と考えますが、検討結果を教えてください。

  • テナントとは何を想定しているのでしょうか(基本構想(素案)では金融機関と記載がありました)

  • 現時点でも町内には空き家・空き店舗があり、今後医療大学の移転に伴いさらに増加することが予想されます。庁舎に新たなテナントを設けるよりも、既存の空き店舗の活用が必要ではないでしょうか。


参考資料


庁舎面積のさらなる縮減

  • 専用の議場は必要なのでしょうか。議会関係で525㎡(5億1,030万円)が見込まれています。議場は会議室と兼用する、文化ホールを併設するなら文化ホールと兼用するなどを考える必要があるのではないでしょうか。


事業費と財源


毎年の一般会計への影響

  • リース方式の場合毎年の負担額の見込みは?また何年リースか?


まちづくり全体との関係


なぜ「時間をかけて検討」から「早急な建設」に変わったの? 建設時期の方針が「延期」から「早急な建設」へ大きく転換しました。    当初の方針: 大学移転などを見極めるため延期(現庁舎を耐震補強)。    新しい方針: 耐震補強費が高額(37.9億円)なため、早急に新築すべき。    検討すべき点: 短期的な費用比較だけでなく、「大学移転後のまちづくりの方向性を見きわめる」という長期的な視点での検討は十分行われたのでしょうか?

新庁舎建設の検討にあたっては、今後のまちづくりの方向性に基づいた議論が必要とされてきました。


  • 令和5年度の議論では、北海道医療大学の移転や建設費高騰といった社会情勢の変化を鑑み、新庁舎建設の時期を遅らせ、その間に現庁舎の耐震補強を行うという方針が一度承認されました。しかし、令和6年度の調査で、この耐震補強と老朽化改修にかかる費用が総額37億9,211万円と非常に高額になる試算が示された結果、検討委員会は一転して「耐震補強ではなく、早急に新庁舎の新築に向けた議論に移行すべき」との総意を示しました。

  • この再々検討は、長期的な「まちづくりの方向性」(大学移転後の影響など)に基づいたものではなく、中間対策(耐震補強)のコスト高騰という短期的な要因に大きく影響されたものです。当初の「町の情勢を見定めるために建設を遅らせる」という慎重な判断が、費用比較の結果のみで覆されたため、新庁舎建設がまちづくりの方向性と整合しているかという視点からの検討が十分に反映されているのか、確認が必要です。



これからの当別町のために、私たちが考えるべきこと。 新庁舎建設は未来への大きな投資です。     財政への影響: 毎年のリース料(行政サービスと引き換え)のリスク理解。    将来を見すえた規模: 人口減・働き方の変化への柔軟性。    他の選択肢の検討: 既存活用などあらゆる可能性の比較。    まちづくりの全体像: 大学移転後を見すえた長期ビジョンとの合致。   大切なのは、みんなで納得できる選択をすること。 町民一人ひとりが関心を持ち、共に考えることが、一番良い選択につながるはずです。

 
 
 

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