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当別のお金の循環を分析してみた

  • 執筆者の写真: 佐藤たつ
    佐藤たつ
  • 4月8日
  • 読了時間: 5分

更新日:4月8日

2028年春に予定されている北海道医療大学の北広島への移転にともない、町内経済への影響額は20億円と試算されています(当別町役場試算)。20億円ってどれくらいの影響なのか。それを知るためには、まずは当別の経済がどれくらいの規模でどんな構造なのかを知らないと。


ということで、当別の地域経済(お金の循環)を、環境省が作成した地域経済循環分析(2020年版)で調べてみました。


地域経済循環とは


地域経済の長所と短所を分析し、地域のお金(所得)の流れを生産、分配、支出(消費、投資等)の三面から「見える化」、地域経済の全体像や、所得の流出入(お金を稼ぐ力・流出額)、地域内の産業間取引(循環構造)を把握することができます。(地域循環共生圏WEBサイト(環境省)


地域経済循環分析の自動作成ツールが無料で公開されていますので、誰でも簡単に地域経済循環分析をすることができます。


リーサスもあるよ

似たようなツールとしては地域経済分析システム(RESAS:リーサス)もあります。リーサスでも地域経済循環分析ができますが、環境省のツールの方がより詳しい分析を入手できます。ちなみに、リーサスでの当別町の地域経済循環分析はこちらです。


ざっくりまとめ


  1. ベッドタウンと思っていたが、雇用者所得はマイナス(町外で働く町民より、町内で働く町外の人の方が稼いでいる)。

  2. 消費で年間58億円が町外に流出

  3. エネルギーで年間23億円が流出

  4. 町外から稼ぐ産業は、建設・食料品・農業・教育・宿泊飲食・林業

  5. 地域経済の核となる産業は、食料品・農業と宿泊飲食


これをふまえて、地域内でのお金の循環を増やすには(素案)

  1. 町内で働く町外在住の方(最大は札幌市民1,808人)に、引越したいと思われるまちにならなくては。

  2. 再生可能エネルギーを用いた発電でエネルギー自給を目指す。

  3. 食料品、農業、宿泊飲食の3業種の売上高拡大を目指す。



では、環境省の地域経済循環分析自動作成ツールで作成した当別町の分析をみてみましょう。これからご紹介するスライドはPDFでダウンロードすることもできます。


当別町の経済規模(GPR)は679億円

GPR(地域内総生産)はGDP(国内総生産)の地域版です。当別町内で1年間に産み出された付加価値の合計額で679億円です。


付加価値とは

付加価値とは、地域内の企業や町民によって生みだされた所得のことです。おおざっぱに言えば、企業の売上高、町民の給料の合計です。上の図が、当別で1年間に産み出された679億円がどのように循環しているのかを示しています。


町外への流出は合計228億円

  • 町外の本社などへの資金流出 77億円(11.4%)

  • 町外から町内へ通勤する雇用者の給料 12億円(1.8%)

  • 町外のお店での消費(買い物や観光など) 58億円(8.6%)

  • 町外への投資 48億円(7.0%)

  • 町外との輸出入 10億円(1.4%)

  • 町外からの電気、ガソリン、灯油などの購入 23億円(3.5%)


町外からの流入は205億円

雇用者所得以外の財産所得(家賃など)と国や道からの交付税、補助金の合計が205億円です。



町外から稼いでいるのは、建設・食料品・農業など6業種

町外からお金を稼いでいる業種は、建設業、食料品、農業、教育、宿泊飲食サービス業、林業の6業種で合計735億円です。他の業種は町外への販売より町外からの購入が多く、全産業の合計では33億円が町外へ流出しています。


町外から稼いでる6業種

  • 建設業 311億円

  • 食料品 127億円

  • 農業 95億円

  • 教育 20億円

  • 宿泊飲食サービス業 2億円

  • 林業 0億円(四捨五入したら0億円ということ)


食料品は、ロイズの効果が大きいのではないでしょうか。建設業が予想以上に大きく、農業も100億円近くを稼いでいます。また教育は北海道医療大学が含まれていると思われますので、2028年の移転後は、大きく減少するのではないかと考えています。



建設・食料品・農業などが当別の得意産業

地域の付加価値のシェアが全国の付加価値のシェアよりも高い産業が付加価値でみた場合の得意な産業です。これらの産業は地域において生産・販売をしやすい産業であるともいえます。当別では、建設・食料品・農業・公務・教育の5業種です。



地域の核となる産業は農業、食料品と宿泊飲食

原材料の調達先と、製品・サービスの販売先の両方で影響力が強い産業が地域の核となる産業です。このグラフで、横軸は、当該産業の設備投資などの増加が町内企業に与える影響度合い、縦軸は、町内の販売先の消費や投資が当該産業に与える影響度合いです。


農業、食料品は、どちらも数値が大きく当別の核となる産業です。また、宿泊・飲食サービス業も売り上げが伸びれば町内企業への波及効果が大きいことがわかります。



地域内の取引では建設業が大きい

このグラフは、地域内での金額の大きい取引を矢印で表したものです。矢印の向かう先が購入する側です。建設業、食料品に矢印があつまっていることから、これら3業種が町内での主な買い手になっています。



エネルギー収支は石油等の流出が大きいが、電化で自給も可能

エネルギー収支は23億円のマイナス。このうち、16億円が石油等です。エネルギーのうち、電気以外は当別での自給はできませんが、再生可能エネルギーで発電すれば電化してエネルギー自給をすることも可能です。


当別町の再生可能エネルギーは最大で、町内のエネルギー消費の約17倍のエネルギー量があります。町内で発電した電気を用いることでエネルギー自給は十分可能です。

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