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【独自集計】当別町、初の過疎地域指定か~令和7年国勢調査速報値から試算

  • 執筆者の写真: 佐藤たつ
    佐藤たつ
  • 1 日前
  • 読了時間: 8分

 2025年(令和7年)に実施された国勢調査の速報値が2026年5月29日に公開され、全国の自治体における最新の人口動態が明らかになりました。そして、今回のデータ更新により、当別町が新たに過疎地域の指定要件を満たす可能性が高いことがわかりました。過疎地域に指定されると、実質7割引きで町がお金を借りられるという有利な制度を使えるようになります。そこで、当別町の現状と過疎地域指定のメカニズムについて解説します。

 なお、この記事の人口減少率などは佐藤の試算によるものです。公的な数値ではありませんのでご注意ください。


過去の過疎地域指定要件と当別町の推移


 当別町は、札幌市に隣接するベッドタウンとしての側面や、大学キャンパス(北海道医療大学)の存在などから、1990年代に急激に人口が増加(最盛期の2000年には20,778人)しました。


 過疎地域の指定で最も重要な指標となる中期人口要件は、過去25年間の人口減少率が、全国の人口減少自治体の平均(法定基準値)を上回っているかどうかで判定されます。これまで当別町が過疎地域に指定されてこなかった理由がここにあります。下のグラフの通り、当別町の人口は1990年に底を打ち、その後2000年まで増加していました。このため、25年前の人口と比較すると、実はあまり減っていなかったのです。今回2025年の国勢調査では、当別町の人口がピークを迎えた2000年との比較です。



 今回独自に算出した、歴代の国勢調査時における当別町の人口減少率と、過疎地域の指定基準(中期要件)の比較は以下の通りです。なお、政府統計データを基に独自で試算していますので、公式な数値とは異なる可能性があります

国勢調査年

(比較対象年)

過疎地域指定基準

(全国平均)

当別町の25年間

の減少率

判定

2000年(vs1975年)

15%以上の減少

19.99%増加

対象外

2005年(vs1980年)

18%以上の減少

15.40%増加

対象外

2010年(vs1985年)

19%以上の減少

13.69%増加

対象外

2015年(vs1990年)

21%以上の減少

9.18%増加

対象外

2020年(vs1995年)

23%以上の減少

19.09%減少

対象外


 このように、2015年までは、25年前と比較すると人口が増えている状態であったため、そもそも要件に該当しませんでした。2020年の調査で初めて25年前(1995年)を下回り19.09%の減少に転じましたが、当時の国の指定基準である23%には届かず、指定されませんでした。


北海道では85%の市町村が過疎地域に指定されている



 令和2年度国勢調査時点では、北海道179市町村のうち、84.9%にあたる152市町村が過疎地域の指定をうけています。当別町は道内では少数派の町村だったのです。



2025年国勢調査:ついに過疎地域指定か


 しかし、今回の2025年(令和7年)国勢調査では状況が変わりました。比較対象となる25年前が、ちょうど当別町の人口がピークに達した2000年となるためです。


 政府統計の総合窓口(e-Stat)の最新データをもとに算出した、当別町の人口推移は以下の通りです。


  • 2000年(平成12年・比較対象年)人口:20,778

  • 2025年(令和7年速報値)人口:14,949

  • 減少数:5,829

  • 減少率:28.05%


過去25年間で人口が約3割減少しました。



人口要件(中期)の算出方法と結果



 過疎法における中期要件では、以下の基準で判定が行われます。


>「基準年(今回は2000年)から直近の国勢調査(今回は2025年)までの人口減少率が、全国の人口減少団体の平均減少率以上であること」


今回の速報値をもとにした試算では以下の結果が導き出されました。


全国の人口減少団体の平均減少率=約25%(25.24%)


 当別町の減少率28.05%は、この新たな全国平均を明確に上回っており、今回初めて人口要件(中期)を満たすことになります。



財政力要件の実データによる検証


 過疎法では、人口要件を満たした上で、さらに財政的に厳しい状況にあるかどうかが問われます。


>「直近3箇年度の財政力指数の平均が、全市町村の平均財政力指数以下であること」


 最新の直近3カ年(2021年〜2023年)の全国すべての自治体の財政力指数を取得して平均を算出したところ、全市町村平均は0.500でした。


 これに対し、当別町の同期間の財政力指数は以下の通りです。


当別町の財政力指数(3年平均)=0.370


 この数値は基準となる0.500を大きく下回っており、財政力要件も確実に満たしていることがわかりました。



 人口要件(中期)と財政力要件の双方が初めて合致したことにより、次期見直しにおいて当別町が過疎地域に指定される公算が大きいと言えます。



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過疎指定されると、、、


 過疎地域に指定された自治体は、財政構造の脆弱さを補完するための特別な国庫補助や起債等の特例措置を利用できます。


実質7割引きの過疎対策事業債(過疎債)


 過疎指定の最大の効果として挙げられるのが、過疎債の発行です 。地方公共団体が過疎対策事業計画に位置付けた事業を行う場合、一般地方債に比べて圧倒的に有利な財政融資を受けることができます。

  • 充当率の特例:事業費に対する起債充当率は原則として100%である。

  • 交付税措置:後年度における元利償還金の70%が、普通交付税の基準財政需要額に算入される。実質的な地方負担は3割に抑制されるため、財政力の乏しい自治体でも必要不可欠な公共投資を行うことが可能になる。

 また、過疎債は対象とする事業の内容によって「ハード分」と「ソフト分」に区分される 。

  • ハード事業:交通・通信施設、公立学校、産業振興施設、医療・厚生施設などの公共施設・公用施設の整備に充当される。

  • ソフト事業:平成22年の改正以降、施設整備だけでなく、地域医療の確保、高齢者支援、集落維持・活性化、人材育成などの経常的な施策も過疎債(ソフト分)の対象となった。

  • 重複排除の留意点:過疎債(ソフト分)を財源とした経費については、普通交付税で元利償還の7割が措置されるため、特別交付税の算定対象からは除外されるルール(地方財政上の二重補正の防止)が厳格に運用されている。


国庫補助率のかさ上げ特例

自治体の過疎計画に基づく特定の公共インフラ整備に関し、国の補助負担率を引き上げるかさ上げ特例が新過疎法でも継続して措置されている。

  • 公立小中学校(統合に伴う校舎等整備):通常の国庫補助率(2分の1)から10分の5.5(55%)へ引き上げ。

  • 公立・公立外保育所:通常の国庫補助率(2分の1)から10分の5.5、あるいは3分の2へ引き上げ。

  • 消防施設(防火水槽等):通常の国庫補助率(3分の1)から10分の5.5(55%)へ引き上げ。


地方税の課税免除に伴う減収補てん措置

 地域内における起業や企業の進出・設備投資を促進するため、対象事業者に対する特別償却や地方税の課税免除(または不均一課税)が認められている。 これに伴い、自治体が免除した地方税減収分の75%が普通交付税の基準財政収入額から差し引かれる(=実質的に普通交付税で補てんされる)特例措置が導入されている。これにより、地方自治体は大幅な税収減を被ることなく企業の初期投資を支援できる。

 対象税目は個人事業税、法人事業税、不動産取得税(道税)および固定資産税(市町村税)であり、業種別の取得価額要件は以下の通り定められている。


対象業種

個人または資本金5,000万円以下

資本金5,000万円超〜1億円以下

資本金1億円超

製造業、旅館業

500万円以上


(建物改修・修繕も対象に含む)

1,000万円以上


(設備の新設・増設に限る)

2,000万円以上


(設備の新設・増設に限る)

農林水産物等販売業、


情報サービス業等

500万円以上

500万円以上


(設備の新設・増設に限る)

500万円以上


(設備の新設・増設に限る)

※個人が行う畜産業・水産業については、自家労働力が全体の3分の1超〜2分の1以下である等の一定要件を満たせば、所得にかかる個人事業税が5年間全額免除される特例措置がある。


【参考】本推計の集計手法



 日本全国の市町村人口を長期で比較する際、最も大きな障壁となるのが平成の大合併による自治体境界の変動です。2000年当時に約3,200あった市町村は、統廃合を経て現在は約1,700にまで減少しています。

 単なる市町村コードの比較では、合併によって消滅した過去の自治体データが欠落し、正確な減少率を導き出すことができません。そこで今回の推計では、以下の処理(マスタデータ構築と動的計算)を自動化するシステムを構築しました。


市町村変遷マスタの構築


 オープンデータとして公開されている市区町村コード変遷テーブル(`municipality-converter`)を活用し、2000年以前の旧自治体コードを現行コードにマッピング。


過去人口の合算(ロールアップ)


 比較対象年(1975年〜2000年)時点での旧市町村人口を現在の境界に合わせてすべて合算。


法定基準(単純平均)の完全再現


 加重平均ではなく、法律の定義通り「減少した全自治体の減少率の単純平均」をプログラムで算出し、歴代の指定基準値(15%〜23%等)を正確に再現して検証。


財政力指数の動的算出


 e-StatAPIを通じて最新3箇年(2021〜2023年)の全国の財政力指数実データを直接取得し全市町村平均を算出。


 これらの試算は、antigrabityを使いました。プログラミングの知識が全くなくても、これらの仕組みを自動でつくることができました。


出典・参照データ


 本記事の推計およびデータ算出は、以下の公開情報・APIを利用して独自にシステムを構築し集計したものです。


  • 令和7年国勢調査速報集計(推計値)/平成12年〜昭和50年国勢調査(出典:政府統計の総合窓口(e-Stat)API)

  • 社会・人口統計体系(市町村データD行政基盤/財政力指数)(出典:政府統計の総合窓口(e-Stat)API(項目コード:`D2201`))

  • 市町村変遷マスターデータ(参照元:GitHub`keisukekondokk/municipality-converter`)

  • 過疎地域指定の根拠法令(過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法(令和3年法律第19号))

 
 
 

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北海道石狩郡当別町

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